作業療法士がリハビリとして塗り絵を提供することがあります。
しかし、セラピストの中には塗り絵に効果はあるのか?と疑問に思う方もいるでしょう。
実際にリハビリ場面や病棟・施設の生活で塗り絵が提供されることは多いです。
本記事ではリハビリで提供する塗り絵には、どのような効果が期待できるのかを解説していきます。
記事の後半では、塗り絵を提供するときの視点や注意点も解説しているため、リハビリで悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
作業療法の塗り絵に期待できる効果4選
塗り絵は認知症の人に提供するイメージがあるね。
確かによくある光景だね。
しかし、他にも期待できる効果があるよ。
理学療法士・作業療法士ともに塗り絵を提供することはあると思いますが、特に良く行うのは作業療法士の方でしょう。
リハビリで提供する塗り絵には様々な効果が期待できます。
- 離床機会に繋がる
- 手の運動になる
- 認知機能の賦活に繋がる
- 精神的な安定に繋がる
これら4つに視点を当てて解説していきます。
離床機会に繋がる
塗り絵は離床機会に繋がります。
入院患者はベッドで寝たきりとなることが多いです。
そんな方が、塗り絵を提供したことをきっかけに、リハビリ以外の時間も起きてくれることがあります。
運動はしたくないけど塗り絵なら起きる、といった方もいます。
特に元々塗り絵を趣味としていた方には効果的。
塗り絵が離床拒否への対策や、リハビリ時間以外の離床時間拡大につながることがあります。
手の運動になる
塗り絵は手の運動にも繋がります。
特に手首や指など、巧緻動作の機会に繋がるでしょう。
麻痺が軽度であれば塗り絵の実施も可能です。
手の使用機会を増やすという目的で塗り絵を提供することもあります。
認知機能の賦活に繋がる
塗り絵は認知機能の賦活に繋がる可能性があります。
入院生活中は、離床機会や刺激の少なさから、認知機能が低下してしまう恐れがあります。
塗り絵は、色を選択する、枠からはみ出ないよう意識して塗るなど、頭を使って行う作業です。
思考を使う課題であり、ただ黙って寝ている時よりも、認知面への刺激に期待が持てます。
精神的な安定に繋がる
患者によっては認知症や精神疾患の影響により、不穏となる方がいます。
塗り絵などの作業に没頭することで、現実的な時間が増え、このような症状の軽減に期待ができます。
実際に精神リハビリでは塗り絵を提供していることがよくありますね。
身体障害領域の病院でも、不穏な患者に塗り絵などの作業活動を提供することは良くあります。
塗り絵を提供するときの注意点
新人の頃はとりあえず塗り絵を提供しよう!
って考えなしに提供してたな…
塗り絵に限らず、作業を提供するときは目的を明確にすることをおすすめするよ。
塗り絵を提供する際は、以下の点に注意しましょう。
- 目的を明確にする
- 嫌がっているのに提供しない
闇雲に塗り絵を提供せず、目的を明確にする必要があります。
元々好きだった作業だから、ペンや鉛筆を使う機会を増やしたいからなど、クライアントの目的に合わせて作業を提供するようにしましょう。
また、嫌がっているのに、無理やり塗り絵をさせることもお勧めできません。
離床して作業提供するのであれば、本人も意欲的に取り組めるものが良いでしょう。
私も新人の頃は「とりあえず塗り絵をしよう」と目的を明確にせず作業提供してよく先輩に指導されました(笑)。
塗り絵を提供するときは環境調整と難易度調整を大切に
塗り絵を提供するときは環境調整や難易度調整が大切。
例えばどのような姿勢で、どのような道具を使って行うのかなど、塗り絵の目的や本人の特性に合わせて提供する必要があります。
色鉛筆は使えないけどクレヨンは使える、椅子座位は安定しないけど車椅子材なら安定して座れる、このように患者や利用者によって状況は異なります。
その人にあった環境調整をしましょう。
また、難易度調整も意識するようにしましょう。
麻痺のステージがⅣ~Ⅴの人に、あまりに細かい塗り絵は難易度が高すぎる可能性があります。
麻痺がなく、認知機能も保たれている人に、子供用の塗り絵を提供しても本人は意欲的に取り組めない可能性があります。
絵の細かさ、必要な色の数など、その人の心身機能に合わせた難易度調整も意識しましょう。
まとめ
今回はリハビリで提供する塗り絵について解説してきました。
塗り絵は、離床機会に繋がったり、認知機能の賦活になったりと様々な効果が期待できます。
しかし、目的を考えずに闇雲に提供してしまわないよう注意しましょう。
こうゆうときこそ、作業療法士の専門性を発揮するときです。
また、塗り絵を提供する際は、その人にあった環境調整、難易度調整も意識しましょう。
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