作業療法士と言えば、片麻痺患者の上肢機能に対するアプローチが代表的ですよね。
しかし、働いている職場環境や領域によっては、入職してから中々上肢機能訓練を必要とする患者を担当できないこともあります。
上肢機能訓練を進めていくうえで、まず大切なのはしっかりと評価をすることです。
本記事では上肢機能評価にはどのようなものがあるのかを解説していきます。
また、この評価は取るべき!といったおすすめの評価も紹介する為、是非参考にしてください。
片麻痺患者の上肢機能評価
片麻痺患者の上肢機能評価には以下のようなものがあります。
- Brunnstrom Recovery Stage(BRS)
- Fugl-Meyer Assessment(FMA)
- STEF(上肢機能検査)
- Manual function test(MFT)
- Motor Activity Log (MAL)
脳卒中患者に、よりエビデンスの高い評価や訓練を行う上で『脳卒中治療ガイドライン』の情報が役立ちます。
知識を深めたい方は読んでみてください。
Brunnstrom Recovery Stage(BRS)
この評価方法はセラピストであれば誰しも聞いたことがあるかと思います。
Brunnstrom Recovery Stageは、脳卒中や脳損傷などの中枢神経系障害に伴う運動機能障害の回復過程を表す分類です。
stageⅠ~stageⅥまでの6段階で示されます。
麻痺の回復過程を見れるため、リハビリを開始してから患者の上肢がどの程度良くなってきているのか、判断することができます。
また、予後予測をする上で参考にすることもあります。
Fugl-Meyer Assessment(FMA)
Fugl-Meyer Assessmentは、上肢および下肢の機能を定量的に評価するために使用します。
運動項目は上肢66点、下肢34点と配点となっています。
最近はFMAを使用した症例報告も多くなっており、脳卒中ガイドラインでも推奨されている評価方法です。
上肢に焦点を当てて訓練を進めていくのであれば取っておきたい評価ですね。
STEF(上肢機能検査)
STEFは上肢機能の中でも、特にスピードを評価するものとなります。
BRS、FAMは脳卒中患者を対象としていますが、STEFは特定の疾患を対象としている訳ではありません。
その為、リウマチや運動器疾患の方でも評価することがあります。
スピードの評価は難易度が高く、麻痺の患者に使用する場合、ある程度上肢が動く方で実施することが多いです。
Manual function test(MFT)
Manual Function Testは、上肢機能と操作性を評価するための評価法です。
主に脳卒中による上肢麻痺を呈した患者の評価に使用されます。
腕から手指にかけて評価することが出来、抹消操作では道具を使用した課題もあります。
Motor Activity Log (MAL)
MAL(Motor Activity Log)は、患者自身の実際の日常生活に焦点を当てた評価方法です。
MALの評価は、以下の2つの尺度から成り立っています
- 使用頻度:患者が日常生活で上肢をどれだけ使用しているかを評価します。
- 動作の質:患者が実際に行っている、上肢操作の質を評価します。
これらの評価項目を通じて、日常生活での上肢の使用状況と運動能力を評価します。
MALは、患者の自己報告に基づいているため、主観的な要素が含まれることに留意する必要があります。
MALの評価結果を参考にリハビリ目標の再設定や治療プログラムを考察します。
評価スケール以外でも評価しよう
実際に評価スケールを使用して、点数化することも大切ですが、日常生活場面での作業観察を行うことも大切です。
患者が行う日常生活や家事動作などを把握した上で、どの程度麻痺側上肢が使用可能なのか、どのような問題点があるのかも評価するようにしましょう。
評価スケールと実際場面の評価で、より患者の理解が深まるはずです。
出来れば取っておきたい評価
片麻痺患者を担当した際、BRS、FMA、MALの評価スケールはできるだけ使用するようにしましょう。
BRS、FMAで麻痺の回復段階を評価することができます。
また、麻痺の改善が見られても、生活で麻痺側上肢を使用できなければ意味がありません。
MALを使用し、どの程度麻痺側上肢を使用できているか評価することも大切です。
まとめ
本記事では麻痺側上肢の評価方法について解説してきました。
- Brunnstrom Recovery Stage(BRS)
- Fugl-Meyer Assessment(FMA)
- STEF(上肢機能検査)
- Manual function test(MFT)
- Motor Activity Log(MAL)
代表的な評価法は上記になります。
片麻痺患者を担当した際は是非参考にしてください。
また、評価スケールの使用だけでなく、日常生活場面での作業観察も重要です。
患者の日常生活や家事動作を把握し、麻痺側上肢の使用可頻度や問題点を評価するようにしましょう。
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