「理学療法士と作業療法士はやめとけ」こんな言葉を聞いたことはないでしょうか?
実際に私はこのような言葉をよく耳にします。
最近、Googleで作業療法士と検索した時も、検索候補で『作業療法士 やめとけ』と出てきました(笑)。
そこで、今回は理学療法士と作業療法士がやめとけと言われる理由を、現役リハ職の私が掘り下げていきたいと思います。
- 理学療法士、作業療法士がやめとけと言われる理由
- 働いてみて実際に思うこと
- 理学療法士・作業療法士を辞めておいた方がいい人の特徴
昨今、少子高齢化、生産年齢人口の低下から福祉関係の需要は高まっていますね。
しかし、現状福祉関係の仕事のイメージは良くありません。
今回は、実際に医療・福祉の現場で働いている私の経験を踏まえて解説していきます。
進路やキャリアチェンジに悩んでいる方は是非参考にしてください。
理学療法士と作業療法士はやめとけと言われる理由
なぜ、理学療法士と作業療法士はやめとけと言われるのか、まずはGoogle検索上位の記事の情報を参考に考察してみます。
やめとけと言われる理由 |
・給料が良くない ・忙しい ・人間関係が大変 ・成果が評価されにくい ・将来性がない ・休みが取れない ・サービス残業が多い |
ざっくりとですが、このような理由で理学療法士・作業療法士はやめとけと言われています。
果たしてこれらは本当なのか、各項目について私の経験を踏まえて解説していきます。
給料が良くない
実際問題、理学療法士と作業療法士の給料は良くありません。
理由としては、昇給が非常に少ないからです。
社会人1年目、2年目あたりまでは周りの同世代と同じくらいの額が貰えます。
しかし、昇給の少なさから、年数を重ねるごとにどんどん周りとの差は開きます。
高卒の社会人に軽々と追い抜かれることも少なくありません。
この昇給の少なさは自分も実際に働いていて体感しています。
年に極数千円程度しか昇給はしません。
役職につくといっても、そう簡単なことではないです。
給与面で、理学療法士・作業療法士をやめとけというのは十分納得できます。
理学療法士・作業療法士の給料については以下の記事でも解説しています。
気になる方は参考にしてください。
理学療法士・作業療法士の給料が低い理由とは?収入を上げる方法紹介
忙しい
実際に理学療法士・作業療法士はスケジュールがタイトで忙しいです。
一日中バタバタしていて、休憩もろくに取れないことは少なくありません。
理学療法士と作業療法士には、1日18単位はリハビリをしましょうというノルマがあります。
職場によってはノルマがもっと高いところもあります。
1単位取得するには、リハビリを20分行う必要があります。
18単位ということは360分リハビリをするということです。
1日8時間労働のうち、6時間をリハビリに費やします。
また、理学療法士と作業療法士の仕事はリハビリだけではありません。
書類作成や情報共有、家族への連絡など他にも業務がたくさんあります。
リハビリの準備や移動時間にも、意外と時間が掛かります。
これらすべての業務を行うのは結構忙しいです。
業務後にはへとへとになっていることも多いです。
忙しさは職場の規模や職員数、システムによって異なります。
そのため、理学療法士と作業療法士の全員が忙しいとは一概には言えませんが、業務内容的に忙しい職場は多いはずです。
以下の記事で理学療法士・作業療法士の忙しさや一日の流れについて詳しく解説しています。
【忙しい?】理学療法士・作業療法士の一日の流れ!病院勤務の実態
人間関係が大変
人間関係は大変です。
人間関係に悩み辞めていく人もいます。
理学療法士と作業療法士は常に人と関わる仕事です。
関わる人は患者や施設利用者だけではありません。
利用者の家族や他施設の職員、看護師、先生と様々な方と関わりながら業務を行います。
そのため、人間関係が上手くいかずストレスを感じる方は多いです。
実際に私も、働いていて人間関係に疲れることは多々あります。
経験からも、理学療法士と作業療法士は人間関係で悩むことが多いです。
成果が評価されにくい
理学療法士と作業療法士は、成果が評価されにくいです。
昇給は一律、成績が良くても昇給率が上がることはほとんどありません。
仮に、上がっても極微量です。
リハビリ職は成果を数値で出しにくいというのが原因の一つです。
病院や施設に雇用されている場合、どんなにリハビリのスキルを磨いても売上は上がりません。
経験年数1年目の人がリハビリをした場合も、経験年数10年目の人がリハビリをした場合も、売り上げは全く変わらないのです。
売り上げのためなら専門スキルより時間管理能力を磨いた方が合理的です。
また、単位意外に職員の実績に甲乙つけがたいというのも影響している気がします。
それもあってか、役職につけるかどうかも基本的に年功序列です。
将来性がない
理学療法士と作業療法士の将来性については、あまりいい噂を聞きません。
少子高齢化、生産年齢人口の低下から理学療法士と作業療法士の将来性は高いように感じますよね。
しかし、実は理学療法士と作業療法士は、供給が需要を上回ると言われています。
また、理学療法士と作業療法士が稼げる収益は、国で定められる診療報酬に依存します。
診療報酬は2年に1度改定されるのですが、ここ最近は中々厳しい状態です。
これらから、理学療法士と作業療法士の将来性に関しては決して期待できるものではありません。
理学療法士と作業療法士の将来性については以下の記事で解説しています。
休みが取れない
休みの取りやすさというのは職場によって異なります。
有給が中々使えない職場もあります。
他の医療職種の方から聞いた話を参考にすると、理学療法士と作業療法士はまだマシな方です。
看護師は特に休みがとりにくいように感じます。
有給も自由に使えず、育休も取りにくいといった職場は少なくないようです。
私自身、作業療法士として働いていて感じるのは、休みが取りにくいと言うより、そもそもの公休数が少ないという点です。
そもそも、有給を自由に使えないというのは労務的にあまり宜しくないかと思いますが(笑)。
さらに公休数も少ないとなると、不満も貯まりますよね。
サービス残業が多い
サービス残業は確かに多いです。
特徴的なのは勉強会です。
理学療法士と作業療法士の方たちは熱心で、勉強会が非常に多いです。
勉強会は昼休みや業務後に行われます。
昼休みに行われる場合は昼の時間が潰れます。
業務後に行った場合は自己研鑽扱いとなり残業を取ることができません。
基本的に勉強会は自由参加なのですが、勉強会に参加していないと職場ではあまりいい目を向けられません。
半ば強制的に勉強会に参加させられることもあります。
特に1年目の方は、勉強会には積極的に参加しようという暗黙の了解があるため、サービス残業は多くなりがちです。
このように、勉強会の影響でサービス残業は多くなります。
理学療法士・作業療法士の残業については以下の記事で詳しく解説しています。
理学療法士・作業療法士のデメリット
先ほどは、Google検索で上位表示されたサイトを参考に、理学療法士・作業療法士がやめとけと言われる理由を紹介しました。
ここでは、実際に働いてみて感じる、理学療法士・作業療法士のデメリットを紹介します。
私の資格は作業療法士のため、作業療法士的な視点が多少強くなるかもしれません。
しかし、基本的に理学療法士・作業療法士の職場環境は大きく変わらないため参考になるかと思います。
実際に働いて感じる嫌なところ |
・学費が高い ・勉強会参加、自己研鑽の圧力 ・ボーナスが少ない ・休みが少ない ・自分は頭が良いと思っている人が多い ・急なスケジュール変更 |
それでは、それぞれについて解説していきます。
学費が高い
理学療法士と作業療法士の資格を取る為の学費は非常に高いです。
国立や県立の大学に入学できれば話は別ですが、私立大学や専門学校の学費は高いです。
奨学金を借りて学生生活を送っている方も非常に多いです。
それに対して、就職後の給料は高くありません。
学費でたくさんのお金が掛かるのに、給料が低いとなると割に合いませんよね。
協力してくれた両親には非常に感謝していますが、この現実には中々納得できていないです。
奨学金を借りた人は返すのにも一苦労といった感じです。
勉強会参加、自己研鑽の圧力
先にも述べましたが理学療法士と作業療法士はとにかく自己研鑽に熱いです。
職場によっては外部の勉強会への参加も促してきます。
先輩や上司からはとにかく、自己研鑽をするよう指導されます。
この環境が私はあまり好きではありません。
理由としては、いくら勉強会に参加しようが給料には全く持って影響しないからです。
好きで学んでいる人はいいかもしれませんが、理学療法士と作業療法士の勉強には、お金も時間も掛かるため、強要するのは違うと思います。
スキルを磨いた人がもっと報われる構造になればこの悩みも解決なのですが。
ボーナス・退職金が少ない
給料の話に違いですが、ボーナスや退職金は少ないです。
ボーナスがほとんど出ないという職場も少なくありません。
売り上げ的に中々厳しいのかもしれませんが、もう少し欲しいですね。
他業種のボーナスや退職金が羨ましく感じます(笑)。
休みが少ない
先ほども解説しましたが、理学療法士と作業療法士の就職先のメインとなる病院や施設は、休みが少ない場合が多いです。
私は良く求人を確認するのですが、公休数の少ない職場が多すぎます。
基本的に土日祝日休みだと年間休日数は120~130日程度です。
理学療法士と作業療法士の年間休日数は、120日もあれば万々歳です。
年間休日数90日台や100台前半の職場は少なくありません。
また、休日数は多くても給料がすごく安い場合が多く、待遇面は良くないことが多いですね。
忙しいうえに休みが少ないとなると体も休まりませんよね。
自分は頭が良いと思っている人が多い
これは完全に私の感覚ですが、自分は頭がいいと思っている人が多いように感じます。
確かに、理学療法士と作業療法士の資格を取得する為には結構な勉強時間が必要です。
加えて、働いてからも勉強がずっと必要になります。
だからと言って決して取得するのが難しい資格ではありません。
むしろ受験者の合格率は高い資格です。
大学や専門学校も簡単に入学することができます。
言ってしまえば誰でも取れる資格です。
それなのに、自分の知識や技術に酔いしれている人が多いように感じます。
求めていない知識のひけらかし、時間が長すぎる指導は後を絶ちません。
急なスケジュール変更が多い
急なスケジュール変更は多いです。
これは病院勤務で特に多いかもしれません。
急遽患者が入院してきた場合や状態が悪化してしまった場合に、スケジュール変更をする必要があります。
たまにならいいのですが、スケジュール変更は頻繁にあります。
臨機応変な対応が常に求められる仕事です。
理学療法士・作業療法士をやめておいた方が良い人の特徴
ここまで、理学療法士と作業療法士がやめとけと言われる理由を紹介してきました。
それでは、実際にやめておいた方がいいのでしょうか?
これはYes/Noで結論を出すのが難しいです。
その為、ここでは理学療法士と作業療法士になるのを、やめておいた方がいい人の特徴を紹介します。
- お金がたくさん欲しい人
- 勉強が嫌いな人
- コミュニケーションが苦手な人
- 自分の成果を売り上げに直結させたい人
- ゆったり働きたい人
これらに当てはまる方は、働いてから後悔する可能性があります。
素敵な仕事ではありますが、大変なのは事実です。
生活も楽ではありません。
これらに全く当てはまらないのであれば、挑戦してみてもいいかもしれませんね。
理学療法士・作業療法士を選んでしまった人はどうすればいい?
すでに理学療法士・作業療法士の道を選んで後悔している人もいるかと思います。
そのような方には以下の対策をおすすめします。
- 在学中で低学年なら学部の変更
- 在学中の3年生、4年生はリハとは関係のない就職先も受けてみる
- すでに働いている人は転職
後悔していて、辞めたいという意思が強い場合、上記の行動をとる必要があります。
低学年なら学部の変更ができますし、就活が近い方は、リハの職場とは別に一般企業の就職試験を受けてもいいでしょう。
また、既に働いている方は、転職を考えてみましょう。
若ければ異業種への転職も可能です。
リハ職から異業種への転職について、以下の記事でも詳しく解説しています。
転職の際は転職エージェントの利用がおすすめです。
転職エージェントを利用する際は、複数登録して自分に合ったエージェントを利用するのがおすすめです。
求人数が豊富なだけでなく、面接練習や書類添削、相談など、様々なサービスを行ってくれます。
有名どころはマイナビエージェントやリクルートエージェントになりますね。
利用するのが少し怖い方は、まずは大手から利用すると安心感も強いです。
まとめ
今回は理学療法士と作業療法士がやめとけと言われる理由について考察していきました。
まとめは以下になります。
- 理学療法士と作業療法士がやめとけと言われる理由は、給料の低さ、忙しさ、人間関係、成果が評価されにくい、将来性、休みが取りにくい、サービス残業が多い、勉強会が多い等
- 実際に働いてみると、休みの少なさ、学費が高い割に給料が安い、自己研鑽の圧力に不満を感じる
- お金がたくさん欲しい人、勉強が嫌いな人、コミュニケーションが苦手な人、自分の成果を売り上げに直結させたい人、ゆったり働きたい人にはこの仕事は向いていない
理学療法士と作業療法士は、実際に働いてみると結構大変です。
不満を抱えている人も多いです。
この道を選ぶのであれば、真剣に考えてからにしましょう。
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